老猫になると、気が利くのだ。

昨夜、彼氏が泊まりに来た。

私は一人暮らしをしているので、

こういう日はダブルベッドに二人で寝ることになる。

あびくんはいつも、

私一人で寝るには広いダブルベッドの右端、

私の枕のすぐ横で、いつも眠っている。

そもそも夜以外もたいてい、そこにいる。

そんなあびくんがどうしたことか、

この日はベッドではなくリビングのソファにいた。

ソファから降りて部屋をウロウロしたりもする。

普段、夜寝る時は、

ベッドルームのふすまを閉める。

だから部屋の出入りはしないのだけど……

昨日はふすまを少し開けておいた。

するとあびくん、

やたらと出入りするじゃないの。

ベッドに来ないなあと思ったら、

ソファにいるし。

彼女なりに気を使っているのかしら？

そんな気がした。

そんな気が利くことなんて、

全然しなくていいのに。

もっとわがまま放題、

「お前のほうが邪魔」くらいの勢いで、

ベッドに陣取ってくれたらいいのに。

そんなことを思った。

だってもう、

老猫なんだからさ！

来週もまた彼氏が来る。

その時のあびくんの動きが、

今から楽しみである。