帰りたくない

今朝あびくんが死んでしまって、
その後泣いた。

とても悲しくて、
泣いた。泣いた。

今日は朝から晩まで仕事が入っていたので、
午前9時、私は家を出た。

そして午後11時半をすぎ、
私は今、電車の中にいる。

仕事仲間に誘われて、
晩御飯を食べてきた。

とびきりおいしい梅酒を飲み、
おいしいそばを食べ、日本酒を飲んだ。

杯を重ねても、
私は酔わなかった。

こんな日は、酔えないんだね。

そして気づいた。

家のベッドにあびくんを寝かせているのに、
私はなかなか家に帰らない。

もしかして私は、
家に帰りたくないのではないか?

あびくんのあの寝姿を、
私は見たくないのではないか?

たくさんの人がSNSを通じて、
追悼の意を述べてくれた。

それを見るだけでもう、
気持ちがいっぱいいっぱいだった。

もうすぐ家に着く。

あびくんはどうしているだろうか?

そんな心配も、もうできない。

悲しいことだ。
寂しいことだ。

帰りたくない。

あびくんはいるけれど、
生きたあびくんがいないあの家には、
帰りたくない。

きっとものすごく冷たくて、
ものすごく固くなっているにちがいない。

いやだ。
そんなあびくんは見たくない。

電車は最寄駅に近づいている。

帰りたくない。

帰りたくない。

でも、
帰りたい気もする。

死してなお、
やわらかなあの毛並みに、
弾けるような弾力のあの耳に、
また触れたいと私は思う。

あびくんはどうしているだろうか。

あ、眠っているだけか。

眠っているだけか。

眠っているだけなのか。

起きてくれないかな。

もう一度、もう一度だけ、
起き上がってくれないかな。

あのかわいいお顔を、
あのお目目を、
私に向けてくれないかな。

いいよ、
そうしてくれたら私は帰る!

そんなことをついつい、
考えてしまうの。


猫又【あびくん♀22歳】気まぐれ長生き猫日記

2018年1月30日。 この日22歳になったメス猫あびくん。 あびくんと22年間一緒に住んでいる42歳の飼い主ぴろこ。 1匹と1人の楽しい日々が綴られた日記です。 東京都大田区蒲田在住です。 何か感じるところがありましたら、ぜひコメントくださいね♪

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